スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

レジュメ

帰省した時にまとめたちょっとしたレジュメです。
議題が無駄合ではなく変別論争ですが、詰将棋のルール史を考える上で参考になると思います。



吉村達也(1999)「毎日がパラダイス」『月刊詰将棋パラダイス』1999年2月号より
吉村さんによる変別の簡潔な要約

作意より短手数または同手数駒あまりの変化手順に気づかず、それとは別の手順で変化を追ったところ、作意と同手数かそれよりも長く、駒もあまらずに詰んだために、それが作意であるかのように錯覚されてもやむを得ない詰手順(p.22)


※川崎さんによると、「作意」→「本手順」がより正確らしい。

詰キストの世代は、昭和二十年代半ばに勃発し昭和三十八年まで続いた変化別詰大戦争をリアルタイムで経験しているか否かで、戦争体験者と戦無派とに二分されるのです(p.24)


※1950年(昭和25年)→変別論争の開始
 1963年(昭和38年)→森田山田対談

○前史
昭和20年代初頭の詰棋界の論客、盛山文質氏の主張
→妙手順優位説への論理的批判→妙手説の衰退

作者が編み出した作意を唯一絶対な「本手順」だと認める客観的な基準が必要になってきたことを意味します(p.24)


しかしまだ変別の概念は現れてこない

○これで行く、これで行かない変別論争
1950年盛山氏が変別○論を主張する

…論争の的となる変別とは、先に書きましたように、それが作意のそっくりさんになりうるレベルのものです。作意が本手順なのか、変化別詰が本手順なのか、甲乙つけがたいという状況を招く種類のものです。
 そして、先の盛山氏が初めて、そのレベルでの変化別詰の概念を提起し、変化別詰は解答募集形式の詰将棋において、解答者が作意だと判定してきても×にはできない――つまり、変別○論をぶちあげた。変別論争の皮切りです。
 妙手説を一蹴した論客だからこそ、本手順の客観性を突きつめていけば当然ぶち当たる問題でもありましたが、盛山氏の理論がきっかけになって変別解は×に決まっている、という考えが定着しはじめていただけに、意外といえば意外なところから論争の火は起こったのです。(p.25)




吉村達也「毎日がパラダイス」『月刊詰将棋パラダイス』1999年4月号より
○有名な方々
田宮克哉氏
・変別○論の論客(「おのずから変別は○に決まっているのであり、変別×論は絶対に認められない」(p.22))
・議論の仕方が独特

森田正司氏
・変別○論(「変別×論という考え方もありうるということを理解した上での変別○論」(p.22))

山田修司氏
・変別×論

○森田山田対談
昭和38年11月号「変化別詰論争に終止符!」

 この対談は最終的に、変別○論の森田さんが山田さんに一歩譲る形で議論がまとめられています。ただしそれは森田さん側から①変別○論は「全面的着手自由」を解図原則とした正しい理論であること②変別○論の登場により、逆に変別×論の理論づけも可能になったこと③変別×規定を作るとしても○論を正しく理解してこれを無視するような態度をとらないこと、という3点を申し入れ、変別×論者の山田さんも、変別○論のおかげで変別×論の正しい認識がなされたことを認め、それゆえに数十年にわたる規約論争はムダではなかった、という点で意見の一致をみました。
 ところがその対談の最後に鶴田主幹の言葉があって、これで論争に一区切りをつけ、今後は「変別は×」という結論をもとに解答審査をしていく、とあっさりまとめられているのです。(p.23)


つまり、このときには主幹が自分の意見を通した形になっている。
というか無駄にヒートアップしたのは、主幹のせいな部分もある


詰将棋のルールの歴史を考えるならば、
①詰上がり駒余りの消滅(江戸時代初期?)
②妙手説(妙手優位説)の衰退(昭和初期~戦後すぐ?)
③変長の減少(昭和の終わり~平成期?)
などが挙げられると思います。

無駄合は②と大きな関わりを持つ(?)ので、昭和初期~戦後しばらくにかけての証言を調べる必要があるでしょう。
しかし、私は当時どんな雑誌があったのかすら把握していません(なんという見切り発車!)。


参考文献
吉村達也 「毎日がパラダイス」『月刊詰将棋パラダイス』1999年2月号、1999年4月号
スポンサーサイト

柿木将棋のエラー?(後)

前回、「冗談のつもりだった」と書いたのですが、
もともとは「冗談です」で閉じる予定でした。

しかし、安江氏の論考「古時計は回りはじめた」を読んで、一筋縄ではいかないことを悟りました。

田島秀男氏作「古時計」を解説する技量は私にはないので、
問題の個所を抽出した図面で代用します。
(なお、図面制作にあたって、森七段作の参考2図を参考にしました)

15
※「受方持駒指定」の詰将棋です。他の飛金銀桂香は駒箱にしまってあります。ご注意ください。

古時計を参考にした作意は、
15飛、45歩、35飛、27玉、37飛まで5手詰
です。

※私なら、「15飛、45歩、35飛、46玉、45飛、36玉」で
持駒が増えてループするので45歩は復元型の無駄合として、
15飛まで1手詰
と思うところです。


安江論考をもとに原作者の主張をこの図に適用すると、
・4手目46玉は、2手目45歩を無駄にさせる手なので27玉が最善
・2手目45歩自体は無駄合ではないが、4手目46玉とすることで無駄合に変化する
・したがって、「無駄合の除外」から46玉と逃げられない
ということになるでしょう。

安江氏は、本来「無駄な合駒の除外」なのではなく「無駄な応手の除外」であるとして、
4手目46玉が無駄応手にあたるためダメと主張しています。


これが正しいとすると、柿木将棋は無駄応手の除外を実行しているということになります。
(「驀進」についてはやっぱりよく分かりませんが)

また、WFP第35号の自作は、受方に変化の余地があるため、1手詰ではないという裁定になるでしょう。
困った。


参考文献
安江久男「古時計は回りはじめた」『月刊詰将棋パラダイス』2001年3月号
批判と応答については、2001年4月号~6月号を参照

柿木将棋のエラー?(前)

馬ノコの無駄合馬ノコの無駄合その2からの派生ネタです。

1手詰?コンクール用の詰将棋を作っていると、柿木将棋の求解エラーによく出会います。
例えばこのような図を解かせると、求解エラーが出て、「17手で詰みました」と言ってきます。
14-1.jpg

作意は
82龍、83歩、93龍、73玉、83龍、62玉、72龍、51玉、61龍、42玉、
41龍、33玉、32龍、24玉、23龍、35玉、25竜、46玉、36龍、57玉、
47龍、68玉、47龍、35玉、36龍、24玉、25龍、33玉、23龍、42玉、
32龍、51玉、41龍、62玉、61龍、73玉、72龍、84玉、82龍
でループ完成(1歩増加)

したがって、
82龍まで1手詰

柿木将棋の出力した手順を読んでみると、15手目の図から分岐していることが分かります。
14-3.jpg

ここから35に逃げるのが私の意図した手順ですが、
柿木先生は15玉と逃げて、25龍までとワザと討ち取られています。


これについて、柿木将棋の不具合と解釈するのが普通だと思います。
しかし、

「この逃げ方は玉方最長に則った正しい逃げ方なのではないか」
という考えがずっと頭の片隅にありました。


説明
35玉と逃げると、受方は以下一切変化の余地なくループ完成の局面まで持ち込まれてしまいます。
(受方に変化する余地がココしかないことをご確認ください)
そうなると、2手目83歩が無駄合と判定され、結局1手詰扱いになってしまいます。
しかし、15玉と逃げれば(すぐに詰まされてしまいますが)ループ完成の局面に持ち込まれることはなく、
無事17手詰となります。

無駄合で1手詰にされにいく35玉と、明らかな自爆をする15玉のどちらが正しい「受方最長」なのでしょうか?

もしかしたら柿木将棋は、後者が真の受方最長と考えているのかもしれません。

どちらが正しい「受方最長」なのでしょうか!(2回目)


・・・と思ったら、「驀進」を解かせてみたら歩合される前に自爆していました。あれ?


参考文献
WFP第21号「1手詰?コンクール」:http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/WFP21.pdf
例題には変化の余地がありません。悩んだ結果、コンクール出品作では一応変化を潰しておきました。
が、その後、そんなことにこだわらなくてもいいと思い直し(第35号では変化可能)、現在に至ります。



「受方最長に疑問を呈す」という体の冗談のつもりだったのですが……

後半へ続く

ルールと無駄合

歴史カテゴリかどうか微妙ですが、規約と無駄合についてです。

①1963年綿貫規約
現在生きている(らしい)規約ですが、50年も昔の規約なので、現状と合っていないという問題があります。例えば、変長など例外の取り扱いなどが現在ではより厳しくなっています。

無駄合に絡みそうな部分をピックアップしていきます。
(以下強調は全て筆者です。原文に強調があった訳ではありません)

第二条(解法)解法の基本は次の如く定める。

① 詰方の指手(着手)は必ず王手をかける形をとること。

② 玉方の指手(応手)は必ず王手をはずす形をとること。

③ 応手の尽きた状態を以て詰みとすること。

④ 詰方は提示の持駒の外に、中途入手の駒を使うこと。

⑤ 玉方は残り駒を合いとして使用できること。

⑥ 着手は最短手順を選ぶこと。(着手最短律)

⑦ 応手は最長手順を選ぶこと。(応手最長律)

⑧ 指手はすべて右の諸条件に対し必要かつ十分である手順をとること。(必要十分律)



その備考が以下

[第二条]緒言に述べた理由から攻方、攻手は不採用、①-⑤は指手の一般的運び方。⑥⑦は本詰決定の絶対手順、⑧は同じく最善手順を導くべき条件。なお⑥の着短律を除外すべしの主張あり。理由は余詰及び変別作品への適用における不合理。また応手はその変化系内の着手がすでに着短律に従うべきことを含むから、応長律のみを条文化せよとの意見あり。着短律を表面に出すと余詰作品の適用に不都合だという。(早詰の場合は作意を、長手数余詰の場合はこれをそれぞれ×とする)⑧の必十律(略称)は⑥⑦の拡大解釈を防ぐもの。即ち飛角香の打場所を不要合駒入手や迂回着手の規制により一つに限定したり、手筋変更を伴わない無駄な合駒応手(2手延びて駒余りのみ)を排する為の規定。ほかに限定合駒にも有意義。



次に、第二章施行規則の第十条(准詰の恕限度)の②応手変化系の許容手順から引用です。

(ロ)作意外最長順 応手最長順に手余りの存する場合はこれを准詰とし、作意とする次位長数順で手余りのないものを本詰とする。また収束時に合駒をすれば二手延び一駒余りとなる場合はこの手順を准詰とし、合駒をしない手順を本詰とする


その備考の一部

しかしこれに手余りを伴う場合は、手余りを客観的判別条件とし、更に手余りを好まぬ主観的評価条件を加えて、この手余り応手変化最長順(手余り変長)を准詰とし、次位長数順で手余りのないものを本詰とすることを提案して、これを了解事項に決定した。但し二手延び一駒余りを恕限度とし、これを越えるものは出題不可とする意見が大半を占めた。また収束に当り合駒が不可能ではないが、二手延び一駒余りとなる場合も右と同じ処置をとることにした。


通常の無駄合の部分は、「手筋変更を伴わない無駄な合駒応手」でしょう。
2手伸びて駒余りになる以外大差ないということなので、現在の無駄合と同じものと考えられます。

が、変長許容のおかげで、
収束部では合駒をする順が准詰で、合駒をしない順が本詰になるという事態が生じうるように読めます。
(無駄合@wikiの最広義無駄合を思い出しましたが、どうなんでしょう)
この場合、作意は合駒ナシの順、解答はどっちを答えても○ということになっているということでしょうか?
さらに、間接両王手が完全作になっています(間接両王手もいつか書く)。

馬ノコの無駄合については触れていない?
※節穴を自覚しているのであまり自信がない


追記:
「収束時に合駒をすれば二手延び一駒余りとなる場合はこの手順を准詰とし、合駒をしない手順を本詰とする」は、このような図を念頭に置いていると考えられます。
変長の例題
23龍、11玉、33馬まで3手
23龍、22歩、32馬、11玉、22馬まで5手歩余り



②1999年?川崎規約案
1999年11月号をベースにしますが、その後どうなっているのか知りません。

第二章 本手順の第八条から引用

第八条 [無駄合の除外]
慣習的に無駄とされる合駒(これを《無駄合》といいます)をする手は、前各条における応手から除き、手数計算にも含めないものとします。


「一般的に無駄とされる合駒は無駄合とする」や「無駄な合駒はしない」というタイプの説明です。
図面等はないので、何が無駄合と認められているのかはこの条文からは判断できません。


※2000年10月に『詰棋めいと』で発表された山田修司氏による対案では、

第八条 [応手の特例]
単に詰方に取られ手数が延びるだけで、その駒を使わなくても詰み、その後の詰手順の内容に変化をもたらさない合駒を《無駄合》といい、第六条の応手に含めないものとします。


こちらは、「取って、以下~」というタイプの説明です。
実際に一般向けルールで使う場合にはどちらでも困らないと思いますが、
山田案のほうが初見さんにやさしいでしょう。



参考文献
詰将棋のルールについて:http://onkotisin.org/tume/tumeruru/tumeruru.htm
綿貫規約はここから引用しました。

川崎弘「規約委員会より」『月刊詰将棋パラダイス』1999年11月号
山田修司「『着手自由』『応手最長』に基づく詰将棋規約案」『詰棋めいと』第28号(2000年10月)
対立のポイントは無駄合ではなく、攻方最善・受方最善(+余詰解答○)か攻方任意・受方最長かという点です。
念のため。

森田昌弘「再び変化長手順について」『月刊詰将棋パラダイス』1963年10月号

無駄合@wiki:http://www48.atwiki.jp/mudaai/pages/23.html
今回は、間接両王手や最広義無駄合を参照しました。


(めいと31号は面白い話題がいくつかあったので、さっさと取り上げたい)

馬ノコの無駄合その2

今回は、「合駒をすぐに取らなくてもいい?」という話題です。

まずは、2010年に行われた、1手詰?コンクールの例題
1手詰?コンクール例題
73飛成、83歩、82龍、84玉、83龍、75玉、
74龍、66玉、65龍、57玉、56龍、68玉、
69龍、67玉、58龍、66玉、56龍、75玉、
65龍、84玉、74龍、93玉、73龍
で無事ループ完成
したがって、83歩が復元型無駄合になるため、
73飛成まで1手詰


1942年に図示されたという謎作品「驀進」
驀進
93飛成、85玉、84龍、76玉、75龍、67玉、66龍、58玉、68龍、47玉、
48龍、36玉、37龍、25玉、26龍、34玉、24龍、43玉、33龍、52玉、
42龍、63玉、72龍、53玉、62龍、44玉、42龍、34玉、33龍、25玉、
(略)
75龍、94玉、74龍(ここからループ開始だが、同じ感じなので略)

※謎なのはこないだ図書館で見られなかったため


どちらの作品も、ヒモつきの合駒をワンクッション入れてから拾っています。
しかし、結局持駒が増えた状態で元の局面に戻すことができるので
無駄合と判定されるということのようです。

これは本当に馬ノコの無駄合に入れていいのでしょうか?


1手詰?コンクールの方は、
「これを認めたらどうなるの?」
な作品を募集する目的なので、この仕様になっていることにはなんとなく納得できるのですが、
「驀進」の方は本当に謎です。当時はどう思われていたのでしょうか。

いずれにしても、現代では無駄っぽさは限りなく低いでしょう。


※初めてコレを目にしたときには「え?いいの?」と思っていたのですが、
 それ以前のノートに1作ありました。自分が何を考えていたのかさっぱりわかりません。


追記:
森信雄さんがこれに該当する図を出しているという情報を得たので、調べてみたところ次の図を発見しました。

『将棋世界』付録「森信雄ワールドPart2」p.80より
参考2図

 参考2図は出題しなかったが、▲2四飛△1五玉▲2七飛まで3手詰。(?)最終局面で△2四歩なら▲2五飛△1四玉▲2四飛△1五玉▲2七飛のサイクルで詰みという奇妙な問題である。
 果たして3手詰といえるかどうか、頭がクラクラしそうで辞めた。


※▲△は将棋駒形だったのですが、再現法が分かりませんでした。

似たようなループ手順を使ったことがあるのですが、当時は知りませんでした。
主張内容が違うので、たぶん別作として扱われると思いますが、どうなんでしょう……


参考文献
WFP第21号「1手詰?コンクール」:http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/WFP21.pdf
WFP第30号「1手詰?コンクール追記3」:http://www.dokidoki.ne.jp/home2/takuji/WFP30.pdf
『将棋世界』2004年1月号付録「森信雄ワールドPart2」

前の記事
次の記事

馬ノコの無駄合

今回は、馬ノコの無駄合とか復元型の無駄合とか呼ばれるタイプの無駄合をざっと解説していきます。
初出は、おそらく『象戯大矢数』の番外の作品ですが、ここではもっと単純化した図で済ませてしまいます。

馬ノコ
(※無駄合を認めても歩が余ります)

32馬、11玉、33馬に対して、
①22金or飛合は、同馬以下
②22歩合などは、12歩、21玉、32馬まで
で詰むので、21玉の一手です。

ここで43馬とすれば、32馬と比べて斜めに1つ馬が移動したことになります。
つまり、
43馬、11玉、44馬、21玉、54馬、11玉、55馬、21玉、
65馬、11玉、66馬、21玉、76馬11玉、77馬、21玉、
87馬(桂確保)、11玉、77馬、21玉、76馬、11玉、66馬、21玉、
65馬、11玉、55馬、21玉、54馬、11玉、44馬、21玉、
43馬、11玉、33馬(往復完了)、21玉
32銀成、12玉、24桂、同銀、22馬まで(歩余り)

このように、ノコギリのように馬を移動させる趣向なので、「馬ノコ」と呼ばれます。


が、

76馬の瞬間に、32歩と打ったらどうなるでしょうか?
32歩合
同馬の一手に、11玉と逃げて、33馬、21玉、43馬・・・
と、攻方は1歩増えて計2歩になったものの、元の局面に引き戻されてしまいました。
……76馬、32歩、同馬(計3歩)、11玉、
……76馬、32歩、同馬(計4歩)、11玉、
……(中略)……
……76馬、32歩、同馬(計18歩)、11玉、
……76馬、11玉(歩切れ)、77馬、21玉、87馬、11玉、
……33馬、21玉、32銀成、12玉、24桂、同銀、22馬まで(歩18枚余り)

「こういう歩合はしないでね(意訳)」としたのが、『象戯大矢数』の番外作品です[1]。
(追記:ちょっとウソかも。現在は歩合ありと見る人が多い)
それ以来、「これは無駄合だ」派と「いや、有効合だ」派が存在しています。
(有効合派は、このようなケースでは1歩でも獲得したら早詰になるように工夫をしています)

それはさておき、このタイプの無駄合は、
ある局面(A)で合駒をすると、攻方はその駒を持駒にした以外は
 その局面と変わらない局面(A')へ持ち込むことができる

という構造をしています(例題の場合、Aは76馬の局面にあたるでしょう)。
局面を元の形に戻すことから、復元型無駄合とも呼ばれる訳です。

※いろいろ呼称があると思いますが、ここでは馬ノコの無駄合と復元型無駄合を用います

この構造は、馬ノコが代表的ですが、別に龍ノコ(龍でノコギリをやる趣向)だって構いません。
ノコギリ趣向とは一切関係のないものでも、このような無駄合は現れます。



例えば、龍追い(龍で追い回す趣向)
龍追い
37飛成、58玉、48龍、67玉、78龍、57玉、68龍、47玉、
48龍、36玉、37龍、25玉、26龍、34玉、23龍、35玉、
24龍、36玉、26龍、47玉、27龍(局面A)、58玉、18龍、67玉、
78龍、57玉、58金まで

収束の雑さは置いておくとして、27龍のときに、37歩とするとどうなるでしょうか。
37歩
以下、
同龍、58玉、48龍、67玉、78龍、57玉、68龍、47玉、
48龍、36玉、37龍、25玉、26龍、34玉、23龍、35玉、
24龍、36玉、26龍、47玉、27龍(局面A')
となって、無事A'に持ち込めました。よって、この37歩合は無駄合と言う訳です。


このようなタイプの無駄合は、「無駄と言われれば無駄かもしれないけど無駄合ではないんじゃない?」感が半端じゃないかもしれませんが、長編作品だと稀に見られるのでひとまず覚えておくとよいと思います。



[1]『象戯大矢数』には解答が添えられていなかったらしいので作者の真意は不明ですが、

遠来名物古今無双
太矢数凡四百度及
敵歩一兵二兵莫用
事則是伝也
誥者知之


と馬ノコ作の上に書かれているらしいことを考えると、
「敵歩使わない」=「無駄合だ!」だったんじゃないか説の方をここでは採用しています。
※追記:解釈ミスな気がする

参考文献
詰将棋博物館「象戯大矢数」:http://park6.wakwak.com/~k-oohasi/shougi/
門脇芳雄編(1978)『続詰むや詰まざるや 古典詰将棋の系譜』平凡社
井島寛(1972)『象戯大矢数の研究』詰将棋パラダイス編集部
『詰将棋パラダイス』2010年11月号大学院解答
(龍追いで無駄合になるパターンは摩利支天氏作「STARSHIP TROOPER」(2010年8月)を参考にしました)


前の記事
次の記事
プロフィール

sogain

Author:sogain
使い方がよく分からん
私の立場については下の「立場」から
簡単な説明は「はじめに」から
まとめは「まとめ」から
とかやればいいんだろうか

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。